対症療法と根本治療。

親愛なるあなたへ

来年度の高校1年生から「新課程」が始まります。

各教科に変更があるようです。

化学を教えている身としましては「熱化学」という分野に大きな変更があり、大学のやり方に合わせる(大学の内容になるというわけではないのですが・・・)というところが気になりますね。

その理由として「高大接続」「世界基準の教育に持っていく」のだそうです。

しかしこれらはあくまで対症療法。

冷戦が終わってから日本の経済が著しく崩れ去った、「1を100にする」教育から脱却していかない限り、その上に築く方策は全て対症療法。

もちろんいきなり「根本治療」はできませんから、少しずつそこに近づけていく対症療法を私は否定しません。

しかし、教育業界や世間が「その対症療法を根本治療として表現する」から生徒さんが本当のことが分からない。

将来の日本を作っていくのは今の若い方々です。

現在の教育改革のやり方を批判するつもりはありませんし私にその資格もないのですけれども、それでは若い方々が納得しない。

目の前のことがコロコロ変わって大変だなとしか思わない。

先の計画とか、何故そうなのだろうという、歴史的、時間的、空間的な視野が広がらない。

我々大人や社会は生徒さんに、それらを含有する計画性、アイディア、実行力を求めるのにその土壌を与えないのはやっぱり何かがおかしい。

ではどうすればそういった土壌を与えられるか。

本当のことを言えばいいのだと思います。

本当のことを議論すればいいのだと思います。

私も普段から接しているので分かりますが、生徒さんや若い方々は馬鹿ではありません。

子供ではありません。

ちゃんと理由を説明すれば、それが大人の理由であっても、背景をきちんと解説すれば何故根本治療が必要なのにこういった対症療法を繰り返すしかないのか、一気に変えることの難しさなどを議論する場などを設ける、そういった科目を設定すれば必ず納得してくれます。

納得しなかったとしても、そこで議論が巻き起こり、各地で巻き起こる旋風が渦となって、社会が巻き起こす現象によって、総理大臣さえ思うようにならない日本という国を動かす原動力になることでありましょう。

「道徳」というのは昔はそれなりに意義があったのかもしれませんが、それよりも「大人の社会」「現実の世界」という教科を使って議論する方がよっぽど我々大人が若い世代に望んでいる結果を引き出すことができるように思います。

令和の時代。

全てのことが少しずつ明るみになる時代。

われわれ大人が本当のことを言えば若い方々の魂が花開く。

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