金の切れ目が縁の切れ目。

親愛なるあなたへ

これは世間の誤解が多いことは重々承知の上なのですが、私は「金の切れ目が縁の切れ目」というのは素晴らしい言葉だなと思うのです。

お金は複雑な人間関係を非常に明瞭にしてくれる。

好き嫌いだけでは説明できない複雑な組織力学の中でも非常に明瞭にしてくれる。

あるいは友人知人、その他親族関係の複雑なしがらみも。

「あの人とはお金でつながっているだけだから」

以前、「サラリーマンの心理構造」というタイトルで書いた、日本人が会社で苦しむ、特にブラック企業と言われるところから逃れられない心理もまさにこれで。

「お金で機敏豊かな人間の感情を無味乾燥なものにするのは罪悪だ」と考える人ほどこのワナにはまってしまうのです。

自分はあの人が嫌いなはずなのに、イジメられているはずなのに、あらゆる力学から、何故自分がその人とつながっていなくてはならないのか、理由が分からなくなってしまう。

一応正当な理由、「上司だから」「取引先だから」「社内人事を握っているから」などあるとは思いますけれども、それは全て「そこから逃れられない」という理由によるものです。

「本当は経済力がないのが逃れられない理由」なのに、そのうち「一人になりたくない」、いい関係でも悪い関係でも「一人になりたくない」という理由と混在してしまうサラリーマンの心理構造のワナにはまってしまうわけです。

人間は「自らの所属感」を放棄できるほど強いものではありません。

一人でいようが何しようが、「自分はここにいてもいいんだ」と思いたいもの。

私だって自由に一人フラフラと偉そうにしゃべっていますけれども、それでも「この世にいていいんだ」という所属感を得られているから生きていられるわけです。

そういう、非常に複雑なものを、一刀両断にシンプルに、何より心が救われる「金の切れ目が縁の切れ目」。

嫌な人がいたら「私とこの人はお金でつながっているだけなんだ」。

もし自分が本当に好きな人・尊敬する人・大切に思っている人がいるなら、その人とだけお金のことは抜きにすればいいんじゃないかと、そう思うんですね。

by You