親愛なるあなたへ
元来の建物を「広島県物産陳列館」と言います。
世界平和を第一線で発信する我が国随一の史跡。
路面電車を降りてすぐの場所にあります。
公園の中なのですが、すぐ脇に交通量の多い道路が通っているにも関わらず、ここだけが外界と隔絶されたような雰囲気になる。
緑豊かで太陽が輝き人々の賑やかな声が聞こえるのに、柵の向こうにある異様な崩れ方をした建物一帯だけの時間が止まっている。
かつて、そのほぼ直上600mの場所で運命の日が炸裂。
想像を絶する熱線と衝撃波、そして放射能が全てを飲み込んでいきました。
周囲を時計周りにぐるっと巡ってみる。
するとすぐに慰霊碑を発見。
何故か分からないけれども自然と頭が下がりそのまま黙祷をささげる。
誰に言われるでもなく、周りの人がやっているからではなく、そうしないと通り過ぎれないような。
「二度と繰り返しませんから」
そう御霊に誓う。
突き刺すような寒さの中、顔を上げると燦々と輝く太陽の下チラチラと雪が舞い出し、ドームの骨格の隙間からは天使のはしごが降り注ぐ。
特徴的な形をした天井では鳥たちがさえずり、平和の象徴である鳩も柵の向こうで餌を食んでいる。
対極の情景に、その歴史に、我々の中にあるものはなんと囁いているか。
「世界平和。与えられた命を真っ直ぐに生きます。」
最後に訪れた平和記念資料館。
置かれていたノートに、そう書いて誓いました。
by You