親愛なるあなたへ
田舎から小包が届きました。
親戚の叔母さんが、僕の極貧生活を心配して食料品を送ってくれたのでした。
小包を開けると、ビッシリと食べ物が詰まっていました。
宝の山に、見えました。
ちょっとした空間にもインスタントコーヒーの袋が詰め込まれていて、ダンボール箱に無駄なスペースがありません。
今まで何度か小包をいただいたことがありますが、こんな感動は初めてです。
「贈り物って、ありがたいな」「食べれるって、素敵なことだな」と、心の底から思いました。
すぐにお礼の電話をかけました。
僕が感謝の気持ちを込めてお礼を言うと、「食べれることが素敵ってあなたが言うなんて・・・」と、叔母さんが小さくつぶやきました。
それは、極貧生活に対する同情ではなく、僕の成長を心から喜んでくれていることなんだと分かりました。
何の不自由もなく生活していると、贈り物の本当のありがたさには気づきません。
しかし、自分の力で世の中を渡っていく覚悟を決めると、他の人からの心遣いに敏感になることできます。
ありがたさを感じる贈り物は、内容によりません。
届けられた中身は、生活雑貨でも、手紙でも、ガラクタでもいいのです。
ダンボールに詰まっているのは、「思いやりの時間」です。
小包というのは、お金はもちろんですが、何よりも手間がかかるものです。
これは、普段送らない側からは全く分かりません。
相手は、大切な自分の時間を、あなたを想うことに割いてくれているのです。
贈り物が届いたら、ビリビリとダンボールを破り捨てて、真っ先に中身に手を伸ばしてしまってはいけません。
ガムテープを取ったら、ダンボールの中の香りを嗅いでみることです。
相手が自分のことを想って封をしてくれた、その空気をまずいただくのです。
コップからストローでジュースを吸い上げるように、ダンボールの開け口に顔を近づけて深呼吸するのです。
空気は目に見えないですが、「質量保存の法則」で、思いやりと一体になった空気は少し重くなっています。
密度が増した空気を吸い上げると、ダンボールには愛情も一緒に詰まっていることを体で感じることができます。
思いやりの詰まった空気をいただくと、自分も誰かに思いやりの空気を贈りたくなります。
親戚の叔母さんに、今度、幸せの言霊を書いた手紙を、贈ります。
by You