親愛なるあなたへ
料理が美味しいと、幸せですね。
口の中に幸せのハーモニーが溢れてくる時間は、とっても素敵です。
でも、料理が美味しくても全員が笑顔になるとは限りません。
高級食材を使ったどんなに絶品な料理でも、美味しいと感じているのに顔が曇ってしまっているお客様がいます。
マズいのではありません。
口に合わないのでもありません。
料理のせいではない、ということです。
食べている人の顔が曇ってしまうのは、料理に込められた魂の問題です。
料理を作った人は、どんな表情でその一品を作ったのでしょう。
鋭い眼差しでいながらもお客様が美味しく召し上がっているところを想像して作った料理と、怒られてイヤイヤ作った料理では、天と地ほどの差があります。
料理にも、表情があるのです。
そして、その表情は作った人の表情の鏡になっていて、さらに料理を食べた人へ伝わっていきます。
料理の味は、舌であじわいます。
料理の表情は、体全体で感じるのです。
どんなに味が一級品でももうこのお店の料理は食べたくないな、と思うことがあります。
料理の表情が曇っているからです。
逆に、どこでも同じ味のはずのチェーン店で、またここで食べたいな、というお店があります。
同じ顔のメニューを扱いながらも、魅力的な表情を作り出す努力をしているシェフがいるお店です。
料理を作るときに研ぎ澄ます体の部位は、舌と表情筋です。
口の中だけではないのです。
口がついている顔全体にも、気を配ることです。
どんな料理でも、食べる人の至福のひと時を想って作った一品は、お客様を必ず幸せにします。
by You