親愛なるあなたへ
人間は、相手に納得してもらおうと、一生懸命話をします。
会議のプレゼンテーションでも、あらゆるデータを持ち出して、ここがこうだからこうなんです、という説明をします。
僕はずっと理系で来たので、その手の説明をするのも聞くのも、慣れています。
理論や理屈で説明されることで「理解する」という世界で修練してきました。
ですから、論理力には自信があります。
でも、相手を納得させるというと、これはまた別の次元の話です。
理解と納得は、全く別ものです。
言葉で説明すれば納得が得られると勘違いしている人が大勢います。
でも、納得は言葉によって与えられるものではありません。
相手を納得させる媒体は、空気です。
抑揚のある、空気の振動です。
相手に納得してもらうためには、自分と同じ空気を吸ってもらうことです。
ただ言葉だけでポンポンというのでは、感動が伝わりません。
素晴らしい演説でスタンディングオベーションを受けるプレゼンターは、会場の人全員に、自分が作り出す空気を提供しているのです。
その空気の振動を感じ取れるから、素晴らしい演説では「ビリビリっときた」「体が震えた」という表現をするのです。
恋愛でも同じです。
どんなに言葉で「好きだよ」と言っても、自分を本当に好きかどうかは、その人が吸っている空気を吸うことで、分かります。
「シビれる言葉」というのは、実は言葉そのものではなくて、シビれるくらいの、熱い空気なのですね。
by You