料理を伝えるには、味わうこと。

親愛なるあなたへ

料理の美味しさを表現するには、自分がその料理を味わわなければなりません。

食べたことがないのに「美味しいですよ」と言ってもお客様には伝わりません。

お客様に必ず「あなたは食べたことあるの?」と聞かれてしまいます。

僕の今勤めている飲食店には「試食」があります。

月ごとに変わるメニューを試食することで、生の体験として取り込むのです。

先日その飲食店へ両親を招待したとき、お客様として来ることで料理の味を確かめるいい経験ができました。

ここは高級志向なので、メニューの名前が長くなります。

文字面を追うだけでは覚えられません。

でも、一度でも試食すると一発で覚えることができます。

どんなに長くても味を思い出すことで名前とリンクするのです。

連鎖反応です。

一口食べた、こんな風味がした、こんな歯ごたえがあった、こんな舌ざわりだったというを感じるまま言葉に出してみるのです。

するとそれがそのまま料理名であることに気がつきます。

長い料理名をつけるのは気取っているのではなくて、感じたままの生の表現なのです。

「和風ステーキ森の香りたっぷりきのこと共に」という料理は、料理長は一口食べた瞬間に森の中を歩いているのです。

がむしゃらに文字を覚えるツマラナイ体験より、気持ちいい生の体験を、しよう。

by You