モノが売れるのは人間に心があるからだ。

親愛なるあなたへ

どうしたらモノが売れるのか。

営業の仕事では常に課題になるテーマです。

良いものであれば売れるということでは、実はありません。

良いものであれば売れるだろうというのは幻想なのです。

良いものが売れるのは、お客様が「良い」と評価してくださるからです。

良いものであってもお客様が評価してくださらなければ、売れません。

モノを売る側になると、機能性がどうとかデザインがどうとかいう話になります。

もちろんマーケティングは重要な項目なのですが、それ以上に大切なのはもっと基本的なところです。

それは、人は論理でモノを買うのではないということです。

人間は感情で消費する生き物です。

ものすごい材質がいいものであっても、その隣に並んでいる品質が劣っている商品に心くすぐられれば、お客様はそちらを買うのです。

もちろん、市場性を高めるために品質のブラッシュアップに努めなければなりません。

でも、人間はそういう経営論理や理屈よりも、感情に従う生き物だということです。

僕はプロポーズするときの婚約指輪を品質で選んだ経験があるのですが、知り合いにブランドを重視するよう勧められました。

なるほどな、と思いました。

品質が良いものの方が彼女が喜ぶだろうというのは、僕の勝手な思い込みでした。

それよりはティファニーの指輪の方がいいのです。

ティファニーの材質が悪いのではありません。

最上級のものを使っています。

さらに厳選された材質のノーブランドの指輪よりも、もらって嬉しいのはティファニーだということです。

材質証明なんか見せても、嬉しくはないのです。

このケースは女心を全く分かっていなかった僕の失敗談ですが、仕事になると意外に盲点を突かれているのです。

ビジネスで大切なのは、質です。

でも、もっと大切なのは質よりも、価値です。

質と価値はイコールではないのです。

価値は、感情が決めます。

人の心が決めます。

心が決めるから、質でなくても、デザインでもブランドでもCM力でも噂でもいいのです。

一見テクニックに走っているように見えますが、そうではありません。

本物の価値を創造しようと頑張っている人たちは、相手の心を、人の心を最も大切にしているのです。

by You