許しを請う。

親愛なるあなたへ

世の中には断れないことってあります。

断りたいけど断れない。

「そんなの無理!」という心の声を押し殺し、反動で押し出された根拠のない笑顔の口から「はい、よろこんで!」

本来は断るのが筋ですが、それを断行すると色んなものがはじけそうで恐ろしい。

これが不可抗力というものか・・・

例えばなんですけど、携帯電話を売ってると故障で持ってこられる方がチラホラ。

チラホラならいいのですが、中にはやっちゃったウェルカムデーみたいのがあるのですよ。

液晶が見るに絶えない姿をさらすもの、サイコの力でひたすら画面が変わるもの。

一番多いのがお水でしゃぶしゃぶするお客様。

ほとんどの方は冷静です。

すごいな、僕だったらパニックになるなと思いながら感心してお話を伺うと、「今日土砂降りの雨だったでしょう。携帯って滑るのね。こう、ツーッって。すごいの。ツーッっていってポチャンって」と、遠い目をして静かに語っていらっしゃいました。

そりゃ無理ですよと最初から言うとお客様は怒ってしまいますから、まずは受け止めなければ。

そのときはとにかく一生懸命やってみる。

これで改善するとは思えないだろうなと思ってもやってみる。

とにかくお客様のために。

回転率を気にするところはそういうのをないがしろにして、結果クレームになったり悪い噂ぶちまけられたりしてドツボにはまる。

人間の心って面白いんですけど、やっぱり一生懸命やってくれると嬉しくなるのですよね。

それで一生懸命一生懸命やって、それでもダメならお客様は必ず分かってくださいます。

こっちも商売だから回転率を気にするのは確か。

でも、一生懸命やって「ああダメですね〜」って心底申し訳なさそうな顔をするとお客様は「ありがとう」と言ってくださり、クレームになるものでもならない。

それを、下手くそなところは最初からバチンとやるからそのままクレームになって余計な時間を取られるのですよ。

だから、「ああダメですね〜」って内心ニンマリするところまでやればいいのです。

一所懸命やって一生懸命やって許しを請えばいいのです。

それが愛情だし、結果回転率でもニンマリできる。

やっぱり相手のためですよ。

by You