波瀾万丈からの地域の看板へ。

親愛なるあなたへ

先日自転車で温泉へ行ってきました。

西宮でお風呂好きなら誰もが知る、双葉温泉。

銭湯は温泉じゃなくても「温泉」と名前が付けられる謎があるのですが、こちらは「正真正銘」。

銭湯価格で源泉かけ流しが楽しめるという素晴らしい場所です。

加水なし・加温なし・循環なし・塩素消毒なし。

たいてい「源泉かけ流し」と言っても冷泉で加温していたり高温過ぎて冷却していたり、一部循環していたりというのは数多あるのですが、全てが純粋という「the・本物」は小生も人生で初。

ここで掘り当てられた44度前後という適度の湧出温度は奇跡に等しいですね。

しかし番台の御主人にお伺いすると、ここに行き着くまでに大変な波瀾万丈があったそうなのですね。

西宮はいつかも書きました阪神・淡路大震災を経験した地域。

ご主人ご自身が被災されただけでなく、そこから立ち上がる過程でも「銭湯業が窮地に立たされた」そうです。

全てがゼロになりそこから復興してきた時代に待っていたのは「家にお風呂がある家庭」。

家で普通のお湯が張れるのにわざわざ銭湯へ行く必要はないだろう、と。

特に、震災で全てが更地になったときから西宮は都市計画により「高級路線」をとるようになったためその影響が顕著に現れてしまったのでしょう。

そこでご主人は温泉を掘ることを決意。

温泉を掘る、なんて我々素人は簡単に言いますがその金額に驚愕。

「1m掘るごとに10万円」。

火山がなかったとしても地球内部から伝わる熱エネルギーと地質の物理学によって、一般的に「100mにつき約3℃上昇する(地下増温率)」と言われています。

ここ、火山がなく開けた土地で海も近い西宮で「暖かい温泉」が出るためには約1キロ「1000m」ほど掘る必要があります(年間平均気温が15度前後だそうですので、15+3×10=45℃)。

とすると1m(10万円)×1000mで、なんと1億円・・・!!

双葉温泉の御主人は900mほど掘られたそうで、そこに水脈があるかどうかも分からないのに本当にこれは「人生の賭け」ですね。

2001年に新たに温泉として開湯しそこから約四半世紀。

地域になくてはならない存在として市民の憩いの場となっています。

地下から湧き出る悠久の年月を数えた暖かい恵みと、数多の困難を乗り越えてきた一つの力強い物語を是非味わいに来てみてはいかがでしょう。

素晴らしい温泉ですよ。

www.futabaonsen.com

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