親愛なるあなたへ
精神を病むと、強烈な孤独感を味わいます。
自分が世の中からたった一人切り離された感覚になるのです。
でも、それは外の世界から見たときの見方です。
精神疾患を経験するメリットは、自分の「内」から外の世界を見ることができるようになることです。
普段、自分の内から外の世界を見ることはありません。
一人きりになってどんなに深い考え事をしていても、外の世界から見ている場合がほとんどなのです。
心を閉ざすことは、自分という星の地底世界を冒険することです。
それは決して隠して恥ずべきことではありません。
誰もが知らないところへ手を伸ばすことができた、ということです。
人は、目の前の現象に興味があるので、足元へは目を向けません。
自分が今目に見えている世界が全てだと思い込んでいるのです。
でも、足元にも地底世界が広がっています。
延々とどこまでも続く暗闇の洞窟が、アリの巣のように広がっています。
精神疾患を経験するのは、その洞窟を一人で探検することです。
暗くて寒くて、どこに出口があるのか分からない迷路に迷いこんだような気になります。
自分は一生ここから出られないような錯覚にも陥ります。
でも、よく考えると、それはすごいことなのです。
誰もが見られない世界を見るというのは、人生でもっとも貴重な体験です。
「これが全てだ」と自分が思っていた世界がくつがえるからです。
井の中の蛙をまた一つ、卒業できるのです。
今は科学が発達しているので、10000mを越える深海への探索が可能ですが、その昔は、深海で独特の進化を遂げた無数の生物たちがいることすら想像がつかなかったのです。
未知の世界は、不安と恐怖が渦巻いていそうですが、そうではありません。
明かりを当てると、神秘的な世界が広がっています。
明かりを当てるとは、逆境を体験している自分を、空から見てみるということです。
自分は、カッコイイ、素敵な冒険者なのです。
それを認識することができれば、巨大な水晶も、地球の中心まで透けて見えそうな澄んだ地下水も、光る石も、全てあなたのものです。
松明は、すでにあなたの手の中にあるのです。
by You