親愛なるあなたへ
パニック障害で死の恐怖に直面し、どこへも出かけられなくなりました。
うつ病で自己否定、対人恐怖、家族への懐疑心、何とも言えない焦燥感、自殺願望で自分をとことん追い詰めました。
薬剤治療を受け入れる勇気と、お世話になった全ての方の支えがなければ、絶対に社会復帰はできませんでした。
そのくらい、強烈な体験でした。
ですから、僕の人生最大のどん底は、パニック障害とうつ病だと思っている人がほとんどだと思います。
でも、そうではありません。
僕が以前の日記で書いた「魂を破壊される経験」とは、精神疾患のことではありません。
もっと下の世界が、あった。
人間の精神そのものに向き合う時間があった、ということです。
精神疾患のときには、外からの圧力に対して防御の仕方が分からずに振り回されてしまっただけでした。
「魂を破壊される経験」は、正しくは「魂を破壊してみる経験」です。
外からの圧力に対して「防御の仕方は知っているけど、自らガードを解いてみるとどうなるのかな」という精神レベルです。
人間の本当の弱さを直視する、ということです。
人間の弱さを直視できる勇気を持つ人だけが、人生のどん底を体験できるのです。
人間の弱さを直視する試練を乗り越えると、精神疾患にはなりません。
僕は今後、どんな試練に見舞われても、心が潰れない自信があります。
精神疾患の薬剤治療も、自ら打ち切りました。
医学的見地からは、急な薬剤治療の打ち切りは離脱作用が起こるので良くないとされています。
でも、人間の精神構造は今の医学で完全に解明できる程単純ではないのです。
大学・大学院で生物工学、製薬会社で医・薬学を学び、自ら精神疾患を経験したので、ハッキリ言えます。
自らの精神をコントロールできるのは、自分だけなのです。
薬剤治療を打ち切ってからは、僕は本がお薬になりました。
本を読んで、自らの精神をコントロールする術を学んだのです。
精神をコントロールしようとすると、精神をコントロールしなくなったらどうなるのだろう、という疑問に行き当たります。
自らの魂に目を向けるのです。
すると、もはや精神疾患とは無縁になります。
僕はもともと強い人間なのではありません。
全く逆です。
子供の頃は、それこそ物語の王子様のように大切に育てられ、周りからは「社会に出られないんじゃないか」と心配されたくらいです。
ハングリー精神のかけらもありませんでした。
その僕が、今、潰れることのない魂を持っています。
精神疾患は、恥ずべきものではありません。
自分の魂を知ることができる、最大のチャンスです。
心の病からは、必ず戻ってこられることを、知ろう。
by You