親愛なるあなたへ
デジタル文字では分からないと思います。
文章の引用では伝わらないと思います。
館内は撮影が禁止でした。
もし知覧に行く機会がありましたら遺影とともにご覧になってみてください。
遺影が並べられている順路二つ目の柱にあります。
絶筆
度々最後々々ト書キマシタガ今度コソ最後デアリマス。
男ト生レ愛機ト運命ヲ共ニシテ、敵艦ニ突入出来得ルコトヲ無上ノ光榮ト致シマス。
三年間ノ教エ有難ウ御座イマシタ。
治夫ガ特別攻撃隊トシテ征クコトノ出来得ルノモ皆オ父サンオ母サンノ御陰デアリマス。
治夫ハニッコリ笑ッテ死ンデユキマス 天皇陛下ノ爲ニ、アノ憎イ米鬼ヲ三途ノ土産物ニシテ
オ母サン泣キタカッタラ泣イテ下サイ。
治夫ハアメリカノ五千人余リノ母ヲ泣カセルノデス
既ニ我ガ愛機ハ今日ノ体當タリヲシュクスル如ク物スゴイ爆音ヲ立テテヲリマス。
モウ出発デアリマス。アト十分位シカアリマセン。デハ隊長殿ニ報告シテマイリマス。
報告モ、終エマシタ。イヨイヨ愛機ニ搭乗デアリマス。今翼ノ上デ走リ書キヲシテヲリマス。
スデニ、戰友ハ飛行機ニ乗ッテヲル。
デハ自分も搭乗シマス。
サヨウナラ。
オ母サン、オ父サン、トコシエニサヨウナラ。
治夫
天皇陛下萬歳
懐シキ我子愛機ノ上デ。
ー袴田治夫（はかまだはるお）少尉、18歳、出撃10分前飛行機の翼の上で両親へ書き綴った言葉ー
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