美しき氷の女王。

親愛なるあなたへ

お墓参りのもう一つの郷里がここ富山にあります。

金沢から富山へ。

大阪から続いたJR西日本に別れを告げ、「IRいしかわ鉄道」「愛の風とやま鉄道」という第三セクターを辿っていきます。

厳しい冬を耐え忍ぶ凛と引き締まった空気。

雪はないのに不思議と何かを閉ざした世界そしてこの感覚こそ、ここでしか味わえない唯一無二のものではなかろうか、と。

二つの県を隔てる倶利伽羅(くりから)峠を越えて、越中・富山へ。

「黒部渓谷」「アルペンルート」で名高い秘境中の秘境は車窓からでは無縁だと諦めかけた直後、街の彼方に氷の壁が出現する。

北アルプス飛騨山脈の北部をなす「立山連峰」です。

全てが雪に白く覆われ、それはまるで一枚の絵画のよう。

圧倒される立体感。

雪というより「山塊全体を氷で固めた」そんな印象さえ受けます。

普段自然の景色は立体と分かっていても「なんとなく平面的」に見えるのですがここは違う。

峰々の影はハッキリと映し出され、鋭い鋭鋒がこちらを切り裂く錯覚に息を飲みます。

何十キロも離れているはずなのにその冷酷なまでの美しさはすぐ目の前に。

背筋が伸びる究極の美を絵に持つ国へ、是非。

by You