親愛なるあなたへ
大阪で生活していると、「値切り」の場面に出会うことが多くなります。
家賃、電化製品、車など、とにかく値切れるものは、値切ります。
関東人には、なかなかないセンスです。
昨日、僕も、パソコンの値切りに挑戦しました。
今まで、電化製品を数回値切った経験をしてきただけなので、緊張します。
「あとどれくらい安くなるか」を直接聞くところから、試合スタートです。
でも、大阪商人の街で磨きぬかれた相手を、関東人が説得するのは至難のワザです。
大阪の人は、「これとこれ買うから、少し下げてこの値段でどう?」という交渉術を使います。
大阪にいると、買い物をハイレベルの領域で楽しむことができます。
ただし、「値切る」というのは、単なる口達者の比べあいではありません。
「値切り」は、武芸です。
きちんと礼儀作法、マナーがあるのです。
僕を含め、関東人は、値段交渉の勉強をしていないので、上手に交渉しているつもりでも、どうしても上から目線になります。
「値切って当然でしょ」という姿勢です。
「値切る」というのは、相手とコミュニケーションをとる、ということです。
大阪人は、安値に貪欲ですが、そのかわり、後味がスッキリしています。
引きずらないのです。
僕も値切りに失敗したとき、「なんて頑固なオッサンなんだ」と思ったこともあります。
でも、「値切り」にも礼儀作法があることを知ると、交渉が嫌らしくなくなります。
ガチンコで闘わず、相手が「これ以上は下げられない」と言ったら、そこでスッと引くのです。
今回、パソコンを買ったときも、ギリギリの値段をつけていたお目当ての商品を値切ることはできませんでした。
でも、交渉した店員さんが、ポイント還元2%上乗せという特典をつけてくださいました。
たかが「2%」と言ってはいけません。
大阪人は、小さな値切りも大切にします。
お店の人の小さな好意にも、心から感謝をしているのです。
僕も、「2%」に心の中で精一杯の感謝の気持ちを込めました。
精算を終えたとき、レジ係の人が「担当に、ポイント還元5%上乗せしておくように、と言われまして」と笑顔でレシートを渡してくださいました。
交渉した店員さんを見ると、何事もなかったかのように、仕事をしていたのが、ムチャクチャかっこよかったです。
by You