人間は絵画だ。見えない部分にも、色が隠されている。

親愛なるあなたへ

絵は、見えている部分だけに色があるのではありません。

プロの画家は、将来見えなくなるところにまで、「下地」の色を塗りこみます。

その上に他の色が何十にも塗り合わさって、完全に色が隠れるのに、です。

水彩画ならば色々な色が混じり合うイメージがありますが、油絵やCGペインティングなど、素人が見たら明らかに下の色が見えなくなるだろう、と思う場合でも、この過程を経るのです。

一見、一番上の色だけが出ていればいいような気がします。

それが直接的な表現型になるからです。

でも、実は、一番表に出ている色が完成するためには、下地の色の積み重ねが必要なのです。

目に見えないところを、人間は感覚で察知しています。

今目に見えている部分はこういう色なんだけれども、実はその下にこんな色やこんな色があって仕上がっているんだろうな、と想像すると、楽しい。

人間も同じです。

誰でも、今目の前の人間を「この人はこういう人だ」と一方的に判断してしまいます。

でも、それはその人の一番上に出ている色を見ているに過ぎません。

人間は、幾重にも塗り重ねられた人間性で構成されています。

「見た目はふつうなんだけど、あの人、味があるよね」というのは、下地になってきた色をしっかり捉えている、ということです。

相手の下地になっている色に、敏感になってみましょう。

すると、自分の隠された部分にも、気づくことができるようになるのです。

by You