おかえり。

親愛なるあなたへ

路肩に除けられた雪が腰ほどにもなる場所を通り抜け、雪かきをしているご年配の女性の方に「こんにちは」と声をかけました。

道幅はそれなりにあるけれども車はほとんど通らない、そして周りは田んぼと思しき雪の絨毯が幾重にも広がる民家の軒先で。

反射する白い光。

「ああ、おかえり」

私が雪国らしからぬ格好と雰囲気から「郷里を訪ねた若者」に見えたのでしょうか。

歓迎でもなく方便でもなく、ごく自然に「いたかのような」そんな和の国の暖かいコミュニケーション。

それだけで胸がいっぱいになりしばし寒さを忘れました。

そんな日本が雪国に残っている。

世の中の色んな苦悩を見たり自分も多少は経験したり。

「正当な特別扱いをされないコミュニケーション」が足りないのがおそらく今の日本で、「おかえり」に込められた真意は一番の薬であり栄養であり、そして最後の答えなのではと、ふと今日そう思ったのですね。

by You