親愛なるあなたへ
豪雪地帯を歩く。
見えるものはただひたすらに白い。
ときに川のせせらぎ、融雪の合図、野生の声と人間が轍を刻む音。
それ以外は全てを白銀の静寂が支配する。
白い静寂には壁があるよう。
カラオケボックスの防音室を想像しますと分かるように。
スキーに行く時も、リフトに乗ってる間「しん・・・・」という、外界から隔絶されたその不思議な孤独感の中にどこか神威さえ感じる。
そんな白い隔絶された神威が覆う中をあえて歩いてみる。
見るもの全てを凍てつかせる、そんな脅しにも似た刺すような寒さに包まれながら、両手にホッカイロという利器を携えて。
人間は指の感覚を取り戻すだけでポジティブになれるという思考回路は非常に面白いですね。
対極の中に安らぎを見てみる。
きちんと文明の利器を携え、「我々人間しょせん小さな生き物です何もできません」と白い天使にきちんと挨拶をしながらね。
そうした中に見る絶景と心に刻まれる不思議なシンパシーは、恐らく忙しい私たちには想像以上のものでしょう。
by You