親愛なるあなたへ
今回の旅行でお一人の老紳士にお会いしました。
飲み屋さんで偶然席が隣になり、意気投合。
見た目がものすごく若く70前後くらいなのかなと思いました。
ところがなんと御年88歳。
しゃきっとしてセンスのいい服をまとわれていたのも驚きですが、なんとこの方お一人で昨日東京から来られたとのこと。
さらに昨日はホテル泊まって明日も泊まるホテルはあるが、今日は泊まるところないから駅前でブラブラすると。
極めつけはこちらにいらっしゃった目的が、複雑な事情があって出なくてはならなくなったご自宅を離れ「あてもないのに」新しく住むところを求めて、荷物をこちらのクロネコヤマト営業所止めにしてるとのこと。
もう訳が分からなくなって、とにかく今日筆者が泊ってるホテルに空きがあったので強制的に予約しようかと思ったのですが、全く聞きません。
ご本人が大好きなカラオケにお付き合いして、しつこく食い下がったのですがダメ。
ただ、警察に届けるとご本人のプライドに関わるだろうなと。
ご家族にも警察に届けることはするなと念を押した「超頑固者」。
でも、様子を見ていて生きていけるのだろうなと思いました。
ただ、あまりに心配だったのでコンビニでお水やなんやらフォローをさせていただきました。
すると、そのことや他、飲み屋さんでお会計させていただいたこと、カラオケでのちょっとややこしい内容に対応したことなどにすごく感謝され、電話番号を交換しました。
とにかくすごい方。
人間はこの年齢でこんな20代みたいなことができるのかと思いました。
もともと建築業を営んでいらっしゃって、70歳で引退。
その後の事はあまりお伺いしなかったのですが、現在執筆作業をしていて本を書いていらっしゃるとのこと。
ものすごい頭脳明晰。
歴代総理大臣を全て言え、スマホは使えないけれども、現在の政界財界の状況をものすごく深くご存じ。
ボケなどとは全く無縁の世界。
行き当たりばったりなのではなく、綿密に計算された中での勇気を奮い立たせたリスクへの決断。
そして、強烈な強運の持ち主なのだなというのも感じ取りました。
助けてくれる人を引き寄せる。
先ほどの「あてもないはず」の引っ越し先が、昨日たまたま入った理髪店の女将さんと意気投合し、そこの一角のお部屋でお世話になることになったのだそう。
米寿の究極の覚悟と挑戦。
その方が私に人生でとてもとても大切なことを教えてくださいました。
お支払いした飲み屋さん代などではとても恩返しできない、1000倍も10000倍も人生で大切なこと、まさにご本人が実践し、そして今なお実践されているその姿を、何も飾らず表現され言語化された至上の格言。
私の中の何かがハッと気づかされた、そんな衝撃を受けました。
この出会いに心から感謝しています。
by You