望郷の念。

親愛なるあなたへ

望郷の念。

それは自分の故郷を大切に思う気持ちでありましょう。

自分が生まれ育った場所は変わらずとも名前が変わる、物理的なものが変わるわけではないのに、ただ名前が変わるだけなのに必死の抵抗に至る。

それは「大阪人が我が強いから」という「外からの一般論」ではもはや通じず、過去東京でも「東京府」と「東京市」が合併して「東京都」になるまで50年の論戦があった。

しかも、最後の最後、戦時中という極限状況下、当時の東条英機内閣が、一国の首相が全エネルギーをかけて無理矢理まとめたというそのくらいの大変革を、爆弾は降ってこない、食べ物も十分にある、ましてやこれまで問題とされていた不具合を橋下さん、松井市長、吉村知事の改革でほぼ解決してしまった、そんな状況で同じことを市民に「口頭で納得してもらえるのか」というと確かに無理があるところはあったのでしょう。

東京府東京市が再編される当時の新聞記事の中にも、今回の住民投票に見られる「望郷の念」とまったく同じ議論があるそうなのですね。

東京がなくなる、東京市がなくなる。

自分の生まれ育った町を愛することは素晴らしい。

しかし過去にしがみついているのがその根拠なのであれば、それは美しい望郷の念も一瞬にして人間のエゴに塗り替えられてしまう。

子育ての愛と執着の境目を見極めるのが難しいことに通じ、この望郷の念も線引きが難しいところではありましょう。

しかし、ただ「なくなる、なくなる」ではその線引きを考えようとしていないのではと、あくまで外部からの無責任な発言ではありますが一つ思うのであります。

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