親愛なるあなたへ
宇宙の始まりには何があったか。
これは科学者の永遠の謎だそうです。
アインシュタインという人が、時間と空間を統合した一般相対性理論という物理体系を作り上げました。
ところが、有名なこの理論は宇宙の始まりに対するとんでもない矛盾を指摘してしまった。
一般相対性理論によると、宇宙は膨張している、という結果が出るのだそうですが、膨張しているということは膨張し始めた場所があるということで、それを突き詰めると一つの点に集約されてしまう。
その一点の中にこの宇宙を作ったすべての源があるという結果になってしまうのです。
この点を「特異点」と呼ぶそうですが、何とも不思議なもの。
その先は物理法則が通用しない。
無から全てが生まれる。
そんなことを科学が認めなくてはならない。
理論で導かれる最終的な答えは、理論に含まれる幻想である。
科学は素晴らしいものだから、科学批判というのは嫌なのですが、科学者というのはどうしてもこの問いから目をそらしてしまうもの。
忙しいサラリーマンが目の前の仕事に追われて人生の目的を忘れてしまうようなもので、誰にもよくあることだと思います。
ただ、科学主義、理論主義で走っている今の世の中に「おかしい」と声を投げかける人が少ない。
簡単に言うと、人間が「スレて」いるのである。
始まりの問いを考えてみると人間は謙虚になれる。
今はもうさよならしてしまったけど、科学を愛し、身を投じた人間としてそう感じざるにはおれないのです。
by You