相手と向き合うというのは、その人の気持ちを尊重するということです。

親愛なるあなたへ

どんなに言葉をかけても、気持ちのすれ違いが起こることがあります。

子供のことが分からない。

部下のことが分からない。

うつ病患者とのコミュニケーションに至っては、すれ違いが大きな危険をはらんでいるため、細心の注意を払わなければなりません。

でも、どんな場合においても、大切なのは相手の気持ちを尊重するということです。

相手の気持ちを尊重する姿勢さえ崩さなければ、必ず意思疎通をはかることができます。

相手の気持ちと向き合うというのは、情報や理屈の正しさを伝えることではないのです。

僕もうつ病を経験したので分かりますが、相手はどうしても解決策を提示してくるのです。

うつ病はこうするといいから、こうしよう。

でも、うつ病の人は、その辛い気持ちを分かってほしいのです。

うつ病の人の辛い気持ちは、なった人でなければ分からないことを本人は知っています。

でも、分からないながらに気持ちを理解しようとする相手の姿勢によって、救われるのです。

薬よりも、何よりも効果があります。

うつ病の人は敏感になっていますから、相手の腹の内をすぐに見抜きます。

ですから、表面だけのカウンセリングは逆効果です。

僕はうつ病を経験することで、相手の気持ちを尊重するとはどういうことかを学ぶことができました。

これは、全てのコミュニケーションの基本です。

相手が小学生や幼稚園児であってもです。

むしろ、気持ちをうまく言葉で表現できない思春期の子供たちと向き合うためには、絶対に心得ておかなくてはいけないことです。

親や上司として「教育しなくては」と意気込み過ぎると、このことを見逃してしまいがちです。

どんなに若くて経験が浅くても、そしてどんなに身近であっても、相手は自分と全く違う世界を生きているということを、肝に銘じておかなければなりません。

このことさえ忘れなければ、子供でも、部下でも、うつ病患者でも、必ず心が通じ合うことができます。

相手の生きている世界を尊重すること、それこそがコミュニケーションで最も大切なことなのです。

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